サイレントピアノと電子ピアノの違いとは?
家で思うままにピアノ弾きたい方にとって、周辺住宅への音の漏れをどう解消するかは重要な問題です。特に、都市部や集合住宅にお住いの方など、そう簡単に家の中に防音設備を整えるわけにもいかないため悩まれる方も多いのではないでしょうか。
そこで、防音対策の候補としてヘッドフォンで練習ができるサイレントピアノと電子ピアノの2つの選択肢が挙げられます。これらはヘッドフォンを接続できるため近隣への音漏れや練習する時間帯などを気にしなくても済みます。
ここではサイレントピアノと電子ピアノ、それぞれの特徴と違いについてお話させていただきます。
サイレントピアノと電子ピアノの違いは?
ピアノにはアクションという(車で言うとエンジンにあたる)メカニズムが搭載されています。ピアノは鍵盤を弾く(叩く)ことで、アクションが動き、弦を叩くハンマーを下から突っつき、その反動でハンマーが弦を叩いて音が出ます。
サイレントピアノは、通常のピアノにハンマーの動きを制御し、かわりに鍵盤の動きをセンサーで読み取り、電子の音源を鳴らす装置を取り付けたピアノを指します。
サイレントピアノで音を出す場合はそのピアノの生の音、音を出さない場合は内蔵した電子音源をヘッドフォンを使って聴くことになります。
電子ピアノは、ピアノの音をデジタル化してチップに収めた音源を使用して音を出しています。鍵盤を押すと、そのキーに対応したデータが取り出され、音としてスピーカーから出力される仕組みです。
2つの構造的な大きな違いは、サイレントピアノには弦やハンマーがあり、電子ピアノにはないという点です。この違いから、サイレントピアノは、本物のピアノを弾くときの様にハンマーの動きを感じられるタッチ感を得られます。
サイレントピアノと電子ピアノとの上達度の違いは?
タッチの音の表現に違いが出てしまう
ピアノの上達には、さまざまな要素が含まれています。その中のひとつとしてタッチの表現があります。
普段電子ピアノを弾いているお子さんによく見られますが、家では弾けるのにレッスンで本物のピアノを弾くとしっかり音が出せないということがあります。
この理由は、電子ピアノとアコースティックピアノのタッチの違いにあります。違いが出る理由は上述した通り、弦やハンマーの有無による構造の違いにあります。
電子ピアノは言ってみれば触るだけで音が出ますが、アコースティックピアノは、それだけでは音は出せません。ハンマーでピアノ線を打弦する感覚を身につけておかなければ、ピアノでしっかりと音を出すことは難しく、ピアノ特有の細かい表現ができないのです。特にスタッカートの表現などは顕著に違いが出ます。
そのため、表現力の高いピアノの技術を身に付けるためには、ハンマーの動きを感じることができるサイレントピアノを選ぶ方がよいでしょう。
サイレントを取り付けするお店選びが重要
ピアノにサイレントを取り付ける場合、ピアノの本来の調整を変更しなければならないため、サイレントを付ける前と付けた後ではタッチが変わってしまいます。
できるだけ本来のタッチを損なわないためには、取り付けをするサイレントの装置を慎重に選択することが必要です。
そして、なによりも大切な事は、サイレントを精密に取り付けることができ、取り付け後のピアノの微調整ができるピアノのタッチの調整の知識、ノウハウを持った職人がいるお店を選ぶことです。